
【2025NBAプレイオフ】崖っぷちレイカーズ、ホームで意地を見せるか?ウルブズとの激闘第2戦を分析
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2025年のNBAプレイオフが熱戦を繰り広げる中、ウェスタン・カンファレンス1回戦、デンバー・ナゲッツ対ロサンゼルス・クリッパーズのシリーズは、早くも目が離せない展開となっています。オーバータイムにもつれた第1戦をホームのナゲッツが制し 1、迎えた2025年4月21日(日本時間22日)、舞台は同じくデンバーのボール・アリーナ。連勝で地元ファンを沸かせたい王者ナゲッツと、敵地で貴重な1勝をもぎ取りシリーズをタイに戻したいクリッパーズ。第1戦同様、今回もまた手に汗握る激闘が予想されました。このシリーズは、1回戦屈指の好カードとして注目を集めています。
試合開始直後は、両チームともにやや重い立ち上がりとなりました。ナゲッツはニコラ・ヨキッチが序盤から得点ではなく、ピック&ポップなどで自らスクリーン後にアウトサイドへ開く動きを見せ、イビツァ・ズバッツをペイントエリアから引き出すことで、カッターへのアシストを狙うなど、司令塔としてゲームを組み立てます。一方のクリッパーズは、カワイ・レナードが序盤からエンジン全開。フィールドゴール最初の5本を全て決めるなど、エースとしてチームを牽引し、ナゲッツに主導権を渡しません。
ナゲッツは速攻やオフェンスリバウンドからのセカンドチャンスポイントで一時9点差までリードを広げる場面もありましたが、クリッパーズもすぐさまディフェンスを修正し、点差を詰め寄ります。第1クォーター終盤はクリッパーズが守備を引き締め、ナゲッツのリードは31-25で最初の12分を終えました。
第2クォーターに入ると、試合の流れはクリッパーズに傾きます。ナゲッツのターンオーバーから立て続けに得点を奪い、開始早々に6-0のランで同点に追いつきます。ナゲッツも応戦し、リードを奪い返しますが、クリッパーズは要所で3ポイントシュートを沈め、食らいつきます。
クォーター中盤には、クリッパーズが9-0のランを見せ、この試合初めてリードを奪いました。ナゲッツはヨキッチに対して徹底したトリプルチームを仕掛けられ、これがターンオーバーを誘発する一方で、ヨキッチの巧みなパスからイージーバスケットが生まれる場面もありました。ヨキッチが3ポイントシュートで再び同点に追いつくなど、一進一退の攻防が続きましたが、クォーター終了間際、カワイ・レナードが値千金のブザービーター3ポイントシュートを沈め、クリッパーズが55-52と3点リードで前半を折り返しました。
後半に入っても、両チームの激しい攻防は続きます。序盤は互いにオフェンスが機能し、リードチェンジを繰り返す展開となりました。クリッパーズはジェームズ・ハーデンが得点を重ね始め、ナゲッツはヨキッチがようやく自身の得点でリズムを掴み始めます。
クォーター中盤には、ジャマール・マレーとノーマン・パウエルが小競り合いを起こし、両チームにテクニカルファウルが宣告される(クリッパーズに2つ、ナゲッツに1つ)など、試合はヒートアップ。その後、ナゲッツのオフェンスが停滞し、審判の笛もナゲッツに厳しくなる中、クリッパーズがリードを6点差まで広げます。しかし、ナゲッツもクォーター終盤に粘りを見せ、点差を縮めることに成功。第3クォーターを終えて、クリッパーズが78-76とわずか2点のリードで最終クォーターへ向かいました。
勝負の最終クォーター、開始早々にヨキッチが3ポイントシュートを決めてナゲッツが逆転。しかし、クリッパーズもカワイ・レナードが引き続き高確率でシュートを沈め、リードを譲りません。ナゲッツは、クリッパーズがあえてオープンにしていたラッセル・ウェストブルックがコーナーから値千金の3ポイントシュートを連続で決めるなど、意地を見せます。
試合は終盤までどちらに転ぶかわからない、まさに「down to the wire」の展開。第4クォーターだけで8回のリードチェンジと4回の同点を記録するほどの接戦となりました。残り約4分、ヨキッチのアシストからマイケル・ポーターJr.が3ポイントを決め、ヨキッチはこのプレイでトリプルダブルを達成すると同時に、試合は96-96の同点に。さらに残り約2分、マレーが3ポイントシュートを沈め、100-100の同点となります。
しかし、ここからクリッパーズが勝負強さを見せます。残り1分30秒、ナゲッツのポーターJr.の痛恨のターンオーバーから、ノーマン・パウエルが値千金の3ポイントシュートを決め、クリッパーズが103-100とリード。ナゲッツもヨキッチのフリースロー2本で1点差に詰め寄りますが、残り1分3秒、クリッパーズはエースのレナードがアーロン・ゴードン越しの難しいエルボージャンパーを沈め、再び3点差とします(105-102)。
ナゲッツは最後の望みを託しますが、ヨキッチがレナードにスティールされターンオーバー。ファウルゲームには持ち込まず、クリスチャン・ブラウンが同点を狙った3ポイントはエアボール。リバウンドを拾ったヨキッチが放ったブザービーターもリングに嫌われ、勝負あり。
最終スコア:ロサンゼルス・クリッパーズ 105 - 102 デンバー・ナゲッツ
この結果、シリーズ成績は1勝1敗のタイとなり、クリッパーズが敵地デンバーで大きな1勝を掴み取り、ホームコートアドバンテージを奪い返しました。
#5 CLIPPERS at #4 NUGGETS | FULL GAME 2 HIGHLIGHTS | April 21, 2025:
この試合の勝敗を分けた要因は、いくつか挙げられます。
クリッパーズの勝因:
ナゲッツの敗因:
主要選手スタッツ
選手名 | チーム | PTS | REB | AST | その他 |
Nikola Jokic | Nuggets | 26 | 12 | 10 | 7 TOV, トリプルダブル |
Jamal Murray | Nuggets | 23 | 2 | 6 | 4 3PM |
Michael Porter Jr. | Nuggets | 15 | 15 | - | |
Aaron Gordon | Nuggets | 14 | - | - | |
Kawhi Leonard | Clippers | 39 | 3 | 5 | 15-19 FG, 1 TOV |
James Harden | Clippers | 18 | 3 | 7 | |
Ivica Zubac | Clippers | 16 | 12 | 4 | |
Norman Powell | Clippers | 13 | - | - | |
- | - | - |
このシリーズの第1戦と第2戦を比較すると、ターンオーバー数が勝敗に与える影響の大きさが浮き彫りになります。第1戦はクリッパーズが20個、ナゲッツが11個のターンオーバーで、結果はナゲッツの勝利。第2戦はその数字がほぼ逆転し(クリッパーズ11個、ナゲッツ20個)、クリッパーズが勝利しました。両試合とも僅差の決着であることを考えると、プレッシャー下でのボールハンドリングと、相手のミスを誘発するディフェンスが、このシリーズの鍵を握っていると言えるでしょう。ヨキッチがトリプルダブルを達成しながらも敗れたように、個々のスタッツ以上に、チームとしてのミスの少なさが勝敗を左右する可能性が高いです。
今回の激闘から、NBA観戦や会話で使える英語フレーズをいくつかご紹介します。
1勝1敗のタイとなり、シリーズの舞台はクリッパーズの本拠地ロサンゼルスへと移ります。第3戦は木曜日(日本時間金曜日)に、クリッパーズの新アリーナ、インテュイット・ドームで開催されます。
ナゲッツにとっては、第2戦で露呈したターンオーバーの問題を修正し、絶好調だったレナードに対する守備戦略を練り直すことが急務となります。一方、敵地で貴重な勝利を挙げたクリッパーズは、ホームのファンの前で期待に応え、シリーズの主導権を握りたいところでしょう。
さらに、ナゲッツには懸念材料があります。第2戦で15得点15リバウンドと活躍したマイケル・ポーターJr.が、試合終盤に左肩を捻挫し、第3戦の出場が疑問視されています(Questionable)。第1戦では3得点に終わったものの、第2戦では攻守に渡って重要な役割を果たしただけに、彼が欠場または制限付きでの出場となれば、ナゲッツにとっては大きな痛手です。その場合、ペイトン・ワトソンやラッセル・ウェストブルック、ジェイレン・ピケットらの出場時間が増える可能性があります。ポーターJr.の得点力とフロアスペースを広げる能力は、ナゲッツのオフェンスに不可欠な要素であり、彼の不在はヨキッチとマレーへの負担を増大させ、クリッパーズの強力なディフェンスに対してオフェンスの選択肢を狭める可能性があります。特に敵地での第3戦において、彼の状態はシリーズの行方を左右する重要な要素となるでしょう。
これまでの2試合が証明したように、今回もまた接戦が予想されます。クリッパーズの新アリーナで繰り広げられるであろう、さらなる激闘に期待が高まります。
カワイ・レナードの歴史的なパフォーマンスに導かれ、ロサンゼルス・クリッパーズが敵地でデンバー・ナゲッツを破り、シリーズを1勝1敗のタイに戻しました。第1戦のオーバータイムに続き、第2戦も最終盤までもつれる大接戦となり、このシリーズが最高レベルのプレイオフバスケットボールを提供していることを改めて証明しました。
舞台をロサンゼルスに移し、両チームがどのような調整を見せるのか。そして、マイケル・ポーターJr.の状態は? 多くの注目点を抱えながら、この手に汗握るシリーズは続いていきます。第3戦からも目が離せません。
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