
【2025NBAプレイオフ】ナゲッツ対クリッパーズ第2戦、シリーズの行方を占う激闘の結末は?
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2025年のNBAプレイオフ・ファーストラウンド、ウェスタン・カンファレンス第2シードのヒューストン・ロケッツと第7シードのゴールデンステート・ウォリアーズによる注目のシリーズ。敵地ヒューストンでステフィン・カリー選手とジミー・バトラー選手の活躍により初戦をものにしたウォリアーズに対し、ホームで連敗は避けたいロケッツ。4月23日(日本時間)、トヨタ・センターで行われた第2戦は、シリーズの行方を占う上で重要な一戦となりました。多くのファンが固唾を飲んで見守る中、試合は序盤から激しい展開を見せましたが、誰もが予想しなかったアクシデントが発生します。
試合は序盤からプレイオフらしい激しいフィジカルコンタクトが繰り広げられました。両チーム一歩も譲らない攻防が続く中、第1クォーター終盤、ウォリアーズに衝撃が走ります。リバウンド争いの場面で、ウォリアーズのジミー・バトラー選手がロケッツのエイメン・トンプソン選手と空中で接触。バランスを崩したバトラー選手はコートに激しく落下し、しばらく立ち上がることができませんでした。
苦痛に顔を歪めながらも、バトラー選手はフリースローラインに立ち、1本を成功させましたが、その後すぐにロッカールームへと下がりました。この時点でバトラー選手は8分間の出場で3得点、2リバウンドを記録していました。そして第2クォーター開始後まもなく、ウォリアーズからバトラー選手が骨盤打撲(pelvis contusion)により、この試合には復帰しないことが発表されました。
ウォリアーズにとっては、トレードで獲得し、チームの快進撃を支えてきた大黒柱の離脱は計り知れない痛手です。さらに追い打ちをかけるように、第1戦で活躍した若手のブランディン・ポジェムスキー選手も胃の不調を抱えており、後半はIV(点滴)を受けるなど、万全の状態ではありませんでした。攻守の要であるバトラー選手の不在は、ウォリアーズのゲームプランに大きな狂いを生じさせることになります。
ウォリアーズの主力選手のアクシデントを尻目に、ホームのロケッツが勢いを増します。特に輝きを放ったのが、若きエースのジェイレン・グリーン選手でした。第1戦ではわずか7得点と沈黙しましたが、この日は水を得た魚のように躍動。内外角から次々とシュートを沈め、ウォリアーズディフェンスを切り裂きます。
グリーン選手はこの試合、フィールドゴール13/25(3ポイント8/18)という高確率でキャリアハイに迫る38得点を記録。成功した8本の3ポイントシュートは、ロケッツのプレイオフ記録に並ぶものでした。さらに6アシストも記録し、チームのオフェンスを牽引しました。
また、第1戦で26得点を挙げたアルペレン・シェングン選手も、この試合で17得点、16リバウンドとダブルダブルの活躍を見せ、インサイドで存在感を発揮しました。バトラー選手を欠いたウォリアーズに対し、ロケッツの若きコアメンバーが躍動し、試合の主導権を完全に握りました。
大黒柱を失ったウォリアーズは、苦しい戦いを強いられます。ステフィン・カリー選手がチームハイの20得点(フィールドゴール6/15、3ポイント4/9)を挙げましたが、ロケッツのフィジカルなディフェンスに苦しみ、いつものような爆発力は見られませんでした。モーゼス・ムーディー選手がベンチから12得点と奮闘し、バトラー選手の代わりに起用されたジョナサン・クミンガ選手も25分間の出場で11得点を記録しました。
しかし、チーム全体としてオフェンスのリズムを掴むことができず、ロケッツの勢いを止めることができません。試合終盤には、フラストレーションからかドレイモンド・グリーン選手とロケッツのフレッド・バンブリート選手が口論になる場面も見られるなど、ウォリアーズにとっては厳しい展開となりました。
最終的に、ロケッツが109-94でウォリアーズを下し、シリーズ成績を1勝1敗のタイに戻しました。ホームで貴重な1勝を挙げたロケッツに対し、ウォリアーズは主力選手の負傷という大きな代償を払うことになりました。
この試合の最大のターニングポイントは、言うまでもなくジミー・バトラー選手の負傷離脱でしょう。攻守両面でチームを牽引する彼の不在は、ウォリアーズの戦力ダウンだけでなく、精神的な支柱を失うことにも繋がりました。
一方、ロケッツはこの状況を見逃しませんでした。第1戦で不発に終わったジェイレン・グリーン選手が、エースとしての期待に応える大活躍を見せ、チームを勝利に導きました。イメイ・ウドカHCの下、第1戦の敗戦から見事に修正し、持ち味であるフィジカルなディフェンスと若手の勢いを取り戻したことも大きな勝因です。
ウォリアーズは、バトラー選手の穴を埋めることができず、ポジェムスキー選手の体調不良も重なり、チーム全体のパフォーマンスが低下しました。特にオフェンス面での停滞が顕著で、ロケッツの激しいプレッシャーの前に、得意の3ポイントシュートも影を潜めました。
試合後、バトラー選手の怪我は骨盤打撲(pelvis contusion)と発表されました。現地時間木曜日にMRI検査を受ける予定で、その結果次第で今後の出場可否が判断されます。
骨盤打撲の回復期間は、重症度によって数日から数週間、場合によっては数ヶ月かかることもあり、痛みの度合い(pain tolerance)がプレー続行の鍵となります。ウォリアーズのスティーブ・カーHCは、バトラー選手が欠場する場合、ジョナサン・クミンガ選手の起用を示唆していますが、バトラー選手の攻守にわたる貢献度を考えると、彼の離脱が長期化すれば、ウォリアーズのプレイオフ戦線に暗い影を落とすことは間違いありません。
バトラー選手のエージェントであるバーニー・リー氏が、NBAインサイダーのマーク・スピアーズ記者に送った「Pray for the bear(熊のために祈ってくれ)」という暗号めいたメッセージは、憶測を呼んでいますが、一部では楽観的な見方もあるようです。また、チーム周辺では長期離脱は避けられるのではないかとの楽観的な見方も報じられています。シリーズは2日間の休養日を挟んで土曜日の第3戦へと移りますが、バトラー選手の回復具合が最大の焦点となります。
今回の激闘から、NBA観戦やニュースで役立つ英語フレーズをいくつかご紹介します。
第2戦は、ロケッツの若き才能の爆発と、ウォリアーズを襲った大黒柱の負傷という、対照的な出来事が勝敗を分けました。ロケッツは見事にホームで雪辱を果たし、シリーズを1勝1敗の振り出しに戻しました。
ウォリアーズにとっては、バトラー選手の離脱が今後のシリーズにどれほどの影響を与えるのか、大きな不安要素となります。経験豊富なチャンピオンチームといえども、攻守の要を欠く影響は計り知れません。
舞台をサンフランシスコのチェイス・センターに移して行われる第3戦は、シリーズの流れを占う上で極めて重要な一戦となります。バトラー選手の出場有無はもちろん、勢いに乗るロケッツに対し、ウォリアーズがどのようなアジャストメントを見せるのか。両チームの戦略、そして選手たちの意地とプライドがぶつかり合う激戦から目が離せません。