
【2025NBAプレイオフ】波乱の幕開け?レイカーズ対ウルブス第1戦、予想外の展開を徹底解説
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2025年のNBAプレイオフが遂に開幕しました!ウェスタン・カンファレンスのファーストラウンドで特に注目が集まるのが、第4シードのデンバー・ナゲッツと第5シードのロサンゼルス・クリッパーズの対決です。両チームともにレギュラーシーズンを50勝32敗という全く同じ成績で終えましたが、タイブレーカーの結果、ナゲッツがホームコートアドバンテージを獲得しました。
クリッパーズはシーズン終盤に驚異的な勢いを見せ、プレーオフ直前の21試合で18勝、最後の8連勝を含む好調ぶりで乗り込んできました。一方のナゲッツは、シーズン最終盤にタイトル獲得経験のあるマイケル・マローンHCを解任するという驚きの動きがあり、デイビッド・アデルマンACが暫定HCとして指揮を執っています。このような背景から、成績上はナゲッツが上位シードですが、クリッパーズの方が安定感と勢いを持ってシリーズに臨むのではないか、という見方も少なくありません。
試合前のボール・アリーナは、プレイオフならではの熱気に包まれていました。特に標高の高いデンバーでのホームコートアドバンテージは、相手チームにとって大きなプレッシャーとなります。幸いにも、ニコラ・ヨキッチ、ジャマール・マレー、カワイ・レナード、ジェームズ・ハーデンといった両チームの主力選手は健康な状態で、この初戦に臨むことができました。ブックメーカーのオッズもこの接戦を予想しており、シリーズ全体ではクリッパーズをわずかに有利と見る向きもある中、この第1戦はナゲッツ有利とされていました。果たして、この注目のシリーズ初戦はどのような展開を迎えるのでしょうか。
試合が始まると、序盤はクリッパーズが主導権を握りました。特にジェームズ・ハーデンが積極的にナゲッツディフェンスにアタックし、得点を重ねていきます。クリッパーズは流れるようなオフェンスで、第2クォーターには最大で15点ものリードを奪う場面もありました。
一方のナゲッツは、オフェンスではニコラ・ヨキッチ以外がなかなかリズムに乗れず、ディフェンスでもクリッパーズのペイント内への侵入を許してしまう苦しい立ち上がりとなりました。このままクリッパーズペースで試合が進むかと思われましたが、ナゲッツは第2クォーター終盤にディフェンスを修正。そこから猛反撃を開始し、13-2(情報源によっては14-2)のランを見せ、前半終了時には53-49と、点差を一気に4点まで縮めてハーフタイムを迎えました。この粘り強い追い上げは、暫定HCのアデルマンも「試合の流れを変える上で非常に重要だった」と語るように、ナゲッツにとって大きな意味を持つものでした。クリッパーズの序盤の勢いと、それを跳ね返したナゲッツの粘り。この前半の攻防は、この試合が単純な一方的な展開にはならないことを予感させました。
後半に入ると、ナゲッツは前半終了間際の勢いを維持し、じわじわと点差を詰めていきます。チームの中心であるニコラ・ヨキッチは、この日も得点(29点)、リバウンド(9本)、アシスト(12本)と、トリプルダブルに迫る活躍でチームを牽引。さらに、アーロン・ゴードン(25点)とジャマール・マレー(21点)も後半に入って調子を上げ、ヨキッチを力強くサポートしました。
クリッパーズも、ジェームズ・ハーデン(32点、11アシスト)とカワイ・レナード(22点)の二枚看板が安定したパフォーマンスを見せ、インサイドではイビツァ・ズバッツ(21点、13リバウンド)も存在感を発揮。試合は一進一退の攻防となり、どちらに転ぶか分からない緊迫した展開が続きました。しかし、クリッパーズには懸念材料も見え始めていました。それはターンオーバーの多さです。試合を通して少しずつミスが増え始め、これが終盤の勝負どころで響いてくることになります。
息詰まる接戦となったこの試合は、48分では決着がつかず、オーバータイム(延長戦)にもつれ込みました。そして死闘の末、最終スコアデンバー・ナゲッツ 112 - 110 ロサンゼルス・クリッパーズで、ホームのナゲッツが劇的な勝利を収めました。
ヨキッチが見せた12アシストという数字は、彼の卓越したゲームメイク能力とボールコントロールの確かさを示しています。対照的に、クリッパーズが犯した合計20回(うちレナードが7回)というターンオーバーの多さは、プレッシャー下での遂行力やボール保持の確実性という点で、明暗を分ける一因となったと言えるでしょう。また、クリッパーズのズバッツは、MVP候補のヨキッチに対して堂々たるパフォーマンス(21得点、13リバウンド)を見せました。チームは敗れ、個人の+/-(出場時の得失点差)はマイナスでしたが、彼の奮闘ぶりはクリッパーズの対ヨキッチ戦略における重要性を示しており、シリーズを通して注目すべきポイントとなりそうです。
第4クォーター終盤から延長戦にかけては、まさに死闘と呼ぶにふさわしい展開でした。
レギュラータイム残り24秒、ナゲッツはラッセル・ウェストブルックが値千金のコーナー3ポイントシュートを沈め、2点のリードを奪います。会場はこの日一番の盛り上がりを見せました。
このクラッチショットの瞬間はこちらでご覧いただけます:
しかし、クリッパーズもすぐさま反撃。次のポゼッションでハーデンが同点となるフローターを決め、試合は振り出しに戻ります。ナゲッツは最後の攻撃でショットを打つことができず、勝負は延長戦へともつれ込みました。
延長戦も激しい点の取り合いとなります。残り1分を切った場面で、ナゲッツのクリスチャン・ブラウンが3ポイントシュートを決め、リードを4点に広げます。しかし、クリッパーズもハーデンが3ポイントを決め返し、再び1点差に詰め寄ります。
そして迎えた残り10.9秒、3点ビハインドのクリッパーズのオフェンス。インバウンドパスを受けたハーデンに対し、ウェストブルックが激しいディフェンスでボールを奪い取り、痛恨のターンオーバーを誘発します。これが事実上、試合を決定づけるプレーとなりました。
ウェストブルックのこの決定的なディフェンスはこちら:
最終盤、ノーマン・パウエルがブザーと同時に3ポイントを決めましたが、時すでに遅し。ナゲッツがホームで貴重な初戦をものにしました。
この試合、ウェストブルックはフィールドゴール17本中5本成功(成功率29.4%)と、シュート効率自体は決して良くありませんでした。しかし、第4クォーター終盤の3ポイントや延長戦でのスティールといった、試合の流れを決定づける「クラッチプレー」を連発。スタッツには表れないエナジーと勝負強さで、チームの勝利に大きく貢献しました。彼自身も「ショットの成否よりも、勝つためのプレーをすることが重要だ」と語るように、数字だけでは測れない価値を示したと言えるでしょう。また、ナゲッツは終盤、オフェンスリバウンドへの執着心を見せるなど、アグレッシブな姿勢が勝利に繋がりました。
一方のクリッパーズにとっては、やはり20回というターンオーバーの数が重くのしかかりました。特に、トランジションオフェンスを得意とするナゲッツ相手にこれだけのミスを犯しては、勝利は難しくなります。レナードも試合後、「ただのゲーム1だ。デンバーはホームで強い。まだゲーム2がある」と、この敗戦を引きずらない姿勢を見せています。
選手 (Player) | MIN | PTS | REB | AST | STL | TO | FG% | 3P% |
Denver Nuggets | ||||||||
Nikola Jokić (C) | 46:06 | 29 | 9 | 12 | 3 | 2 | 50.0% | 25.0% |
Jamal Murray (PG) | 47:55 | 21 | 9 | 7 | 1 | 3 | 35.0% | 42.9% |
Aaron Gordon (PF) | 45:46 | 25 | 8 | 1 | 2 | 3 | 57.1% | 33.3% |
Russell Westbrook | 34:25 | 15 | 8 | 3 | 2 | 1 | 29.4% | 33.3% |
Christian Braun (SG) | 45:07 | 11 | 3 | 1 | 2 | 0 | 50.0% | 25.0% |
Los Angeles Clippers | ||||||||
James Harden (PG) | 42:47 | 32 | 6 | 11 | 0 | 2 | 50.0% | 44.4% |
Kawhi Leonard (PF) | 41:09 | 22 | 6 | 2 | 3 | 7 | 60.0% | 33.3% |
Ivica Zubac (C) | 39:25 | 21 | 13 | 2 | 1 | 2 | 66.7% | N/A |
Norman Powell (SF) | 37:13 | 12 | 3 | 4 | 1 | 4 | 41.7% | 33.3% |
オーバータイムにもつれる大激戦となったこの第1戦は、両チームの強みと課題が浮き彫りになる試合となりました。ナゲッツは劣勢からの見事な粘り強さと、土壇場での勝負強さを示しました。一方のクリッパーズは、高いオフェンス能力を持ちながらも、ターンオーバーの多さが命取りとなりました。
この試合内容は、多くの専門家が予想した通り、このシリーズが長く、拮抗したものになることを裏付けています。シリーズのオッズも、さらに接近することになるでしょう。
第2戦に向けて、クリッパーズは何よりもターンオーバーを減らすことが急務です。ナゲッツとしては、ヨキッチへの依存度を減らし、特に試合序盤から他の選手が安定して貢献できるかが鍵となります。
興味深いのは、ナゲッツが勝利したにも関わらず、第2戦のブックメーカーの予想ではクリッパーズがわずかに有利(-1点)とされている点です。これは、ナゲッツの勝利が接戦の末であり、クリッパーズがターンオーバーという修正可能なミスを減らせば、依然として高いポテンシャルを持っていると評価されていることの表れかもしれません。第1戦でナゲッツ有利だったライン からのこの変動は、市場がクリッパーズの底力を依然として高く評価していることを示唆しています。
注目の第2戦は、月曜日の夜(日本時間火曜日)、再びデンバーのボール・アリーナで行われる予定です。初戦の激闘を経て、両チームがどのような修正を見せてくるのか、目が離せません。
今回の熱戦から、NBA観戦や会話で役立つ英語フレーズをいくつかご紹介します!